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2014/06/20 Fri  23:59:55» E d i t
 » 『日本の悲劇』 

仲代達矢主演、小林政広監督2013年の作品。
息子の義男(北村一輝)は、優しくてまっすぐな人間だ。
恐らく親にたいした心配もかけず、いい子で育ってきたんだろう。
そんな人物設定だと思う。
家族のためを思うから仕事に頑張ったという彼は、結局精神を病んでこのままでは自殺してしまうのではないかと妻にも告げず長野の病院に入院してしまう。
そんな義男とはもうやっていけないと妻のとも子(寺島しのぶ)は離婚届を置いて子供と気仙沼の実家に戻る。

父親(仲代達矢)が自分が死んだ後も息子に自分の年金を受給させようとするあたりがこの話の根底なのだと思うけれど、私はむしろお互いに愛情がないわけではないのに分かり合おうとしなかった夫婦の方が悲劇に思える。
職も失い、精神も病んでしまった義男は、こんな自分では到底妻子を迎えに行くことなんかできないと思い込んでいる。
義男が家に戻ったその日に母親は外で倒れ、そのまま義男は母親が死ぬまでの4年間看病する。
父親も具合が悪くなり、ようやく明日病院に行く決心をした日に大震災が起こり、元妻と子が行方不明になる。
そして結局父親も肺がんで余命わずかだと判明。
働けないとかお金がないとかということよりも、支え合う家族がいないことが一番悲しいことなんじゃないかな。
義男が言う「みんないなくなってしまった」ことこそが辛い。

この映画は登場人物が4人しかいない。
現在進行するのは父親と息子だけだ。
カメラは固定されていて、映像は白黒。
場面毎に暗転するのでまるで舞台を見ているようでもある。
音が聞こえるのもカメラの位置に固定されていて、義男が家の外を回って行く音がぐるりとその移動の通りに聞こえてくるので、自分がカメラの位置に立ってそこをじっと見ている感じになる。
義男が庭で洗濯物を干す音、台所で料理をする音などから、そこにそうやって暮らしているということがリアルに感じられる。

部屋に立て籠もってそのまま死ぬという父親に、義男は「お父さん」とまるで幼い子供のように呼びかける。
そして耐え切れなくなって「もうやめてくれ」と泣き叫ぶ。
淡々と悲しみをたたえその表情だけで演じる仲代達矢も凄いが、時に子供のように泣きじゃくり感情を剥き出す息子を演じきった北村一輝もまた凄い。
幸せだった昔の回想シーンは気が付けばカラーで、余計その落差を思い知らされる。

この映画、ロードショーはもう終わっていて、たまたまきょう一日だけ池袋の新文芸坐での上映だった。
今週は久々に高熱出して仕事を2日も休んでしまったのだけれど、観に行けて良かった。
ただ「日本の」というタイトルは、私の中ではまだしっくりきていない。

そんな今日、またまた北村さん関連でビッグニュースが。
藤谷文子×北村一輝×ペペ・セルナ主演作、ロサンゼルス映画祭でグランプリを受賞

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